執筆者
弁護士法人Legal Home
代表弁護士 藤原 武士
経歴
- 愛知県豊橋市出身
- 東北大学法学部卒業
- 2010年8月司法修習終了(63期)
- 2010年9月他事務所で勤務
- 2017年10月藤原武士法律事務所 開設
- 2020年8月法人化し、弁護士法人藤原武士法律事務所へ。豊中オフィス開設
- 弁護士法人Legal Homeへ名称変更
土地や建物を相続しても、持ち主の名義は自動的に変わりません。
法務局で、亡くなった方から不動産を受け継いだ方へ名義を変更する必要があります。この手続きを「相続登記」といいます。
たとえば、父親名義の自宅を長男が引き継ぐことになっても、相続登記をしなければ、登記上の持ち主は父親のままです。
※2024年4月1日から、相続登記の申請が法律上の義務になりました。
昔の相続も対象になるため、祖父母や両親の名義のままになっている不動産がある場合も確認が必要です。
名義変更をしないまま年月が過ぎると、不動産を受け継ぐ権利のある方が増えていきます。
たとえば、祖父名義の土地をそのままにしている間に、祖父の子どもが亡くなると、その配偶者や子どもも手続きに関係することがあります。
何世代も名義を変えずにいると、連絡や合意が必要な方が大幅に増え、売却や活用が難しくなります。
こうした持ち主の分かりにくい土地や建物を減らすため、相続登記が義務になりました。
不動産を相続したことと、自分がその不動産を受け継ぐことを知った日から、原則として3年以内に申請します。
父親が亡くなり、話し合いによって長男が自宅を取得することになった場合は、その内容に沿って長男の名義へ変更します。
相続人全員の話し合いで取得者が決まったときは、話し合いがまとまった日から3年以内に登記を行います。
制度が始まる前に発生した相続も対象です。
たとえば、10年前に亡くなった父親の土地が、現在も父親名義になっている場合も相続登記が必要です。
制度開始前の相続については、原則として2027年3月31日までに申請します。
正当な理由がないまま申請をしなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
過料とは、法律上の義務に違反した場合に支払いを求められる金銭です。刑事罰としての罰金とは異なります。
期限を過ぎたからといって、直ちに過料が科されるとは限りません。ただし、制度を知らなかったことや、手続きが面倒だったことだけでは、申請しなくてよい理由にはなりません。
名義が古いままの場合は、期限を確認して早めに準備しましょう。
相続人同士の話し合いがまとまらず、期限までに取得者を決められないこともあります。
その場合は、「相続人申告登記」という制度を利用できることがあります。
相続人申告登記とは、自分が亡くなった方の相続人であることを法務局へ申し出て、ひとまず申請義務を果たすための制度です。
この手続きをしても、不動産の正式な名義変更が完了するわけではありません。
たとえば、兄弟で土地の分け方を話し合っている途中に申告を行い、後から次男が土地を取得することになった場合は、改めて次男への相続登記が必要です。
不動産の売却や活用を考えている場合は、最終的な名義変更まで進める必要があります。
相続人の一人が亡くなると、その配偶者や子どもが新たに手続きへ関わることがあります。
時間がたつほど、連絡を取る相手や必要な書類が増えやすくなります。
亡くなった方の名義のままでは、原則として不動産をそのまま売却できません。
買主が見つかってから相続登記を始めると、売却の予定に間に合わないことがあります。
固定資産税、建物の修理、草木の手入れなどを誰が負担するのか分からなくなることがあります。
名義と実際に管理している方が異なると、処分や活用について意見が分かれやすくなります。
年月がたつと、戸籍や話し合いの記録を集めることが難しくなります。
過去に家族で分け方を決めていても、書面が残っていなければ、改めて相続人を確認しなければならない場合があります。
相続登記が必要なのは、自宅だけではありません。
使っていない土地や、価値が低いと思われる不動産も対象です。
たとえば、亡くなった方が地方に山林を所有していた場合は、その山林についても確認します。
現在の名義は、法務局で「登記事項証明書」を取得すると確認できます。
登記事項証明書とは、不動産の所在地、広さ、持ち主などが記録された書類です。
固定資産税の通知書だけでは、現在の登記名義が分からない場合があります。
また、自宅の敷地が複数の土地に分かれていたり、近くの私道に持分があったりすることもあります。自宅だけでなく、亡くなった方が所有していた不動産全体を確認しましょう。
必要な書類は、遺言書の有無や不動産の分け方によって異なります。
固定資産評価証明書とは、土地や建物の評価額が記載された書類です。登記に必要な税金を計算するときにも使います。
すべてのケースで同じ書類が必要になるわけではありません。遺言書の有無と、不動産を誰が取得するのかを確認してから準備します。
相続登記をしないだけでは、不動産の相続を断ったことにはなりません。
財産や借金を引き継がないためには、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行います。
相続放棄とは、預貯金や不動産などの財産と、借金をまとめて引き継がないための手続きです。
たとえば、「管理できない山林だけを放棄して、預貯金は受け取りたい」という選び方は原則としてできません。
相続放棄には、原則として自分が相続人になったことを知った日から3か月以内という期限があります。
固定資産税を支払っている方と、登記上の持ち主が同じとは限りません。
たとえば、長男が毎年固定資産税を支払っていても、登記簿を確認すると祖父名義のままになっていることがあります。
納税通知書が届いているから自分の名義になっていると思い込まず、登記事項証明書で確認することが大切です。
相続登記を終えた後に引っ越した場合は、登記簿の住所も変更する必要があります。
結婚や離婚などによって氏名が変わった場合も同様です。
住所や氏名の変更登記は、2026年4月1日から義務になっています。原則として、変更した日から2年以内に申請します。
相続登記が終わった後も、登記簿の情報が現在の住所や氏名と合っているか確認しましょう。
不動産を誰が取得するか決まっている場合は、司法書士が相続登記の申請を担当します。
一方、相続人同士で意見が合わない場合は、登記の前に遺産の分け方を整理する必要があります。こうした話し合いや交渉は、弁護士が対応します。
たとえば、兄は実家を売りたいと考え、弟は住み続けたいと考えている場合です。
このようなケースでは、不動産の価値やほかの財産も確認し、誰が取得するのか、売却するのかを話し合います。
相続登記の義務化により、最近の相続だけでなく、以前に発生した相続についても確認が必要になりました。
実家が亡くなった父や母の名義のままになっている場合や、祖父母名義の土地が見つかった場合、不動産を誰が取得するか決まらない場合、相続人が多く話し合いが進まない場合、相続登記の期限が近づいている場合、不動産の売却もあわせて考えたい場合などは、早めに状況を整理することが大切です。
弁護士法人Legal Homeでは、豊中を拠点に大阪府全域から、不動産を含む相続のご相談を受けています。
相続人同士の話し合いは弁護士が対応し、登記申請は司法書士と連携します。不動産の評価や売却が必要な場合も、状況に応じて必要な対応を整理します。




