借金問題

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借金も相続の対象になります

相続では、預貯金や不動産などの財産だけでなく、亡くなった方が残した借金も引き継ぐことがあります。
たとえば、父親が亡くなり、預貯金が300万円、借金が500万円あった場合を考えてみましょう。
何も手続きをせずに相続すると、預貯金だけでなく、借金も引き継ぐことになります。
相続の対象になる可能性があるものには、次のようなものがあります。

  • 銀行や消費者金融からの借入金
  • 住宅ローン
  • クレジットカードの未払い
  • 自動車ローン
  • 事業上の借入金
  • 未払いの家賃
  • 未払いの税金や医療費
  • 知人や親族からの借入金
  • 連帯保証による支払い義務

借金があることを家族に知らせず、亡くなった後に督促状が届いて初めて分かることもあります。
「財産はあまりない」と聞いていた場合でも、借金がないとは限りません。財産を受け取る前に、プラスの財産と借金の両方を調べることが大切です。

借金を引き継ぐかどうかには3つの選択肢があります

相続が始まったときは、財産と借金をどのように扱うかを選びます。

選択肢 内容 検討するケース
「単純承認」
すべて引き継ぐ
財産と借金の両方を引き継ぎます 財産が借金を上回る場合
「相続放棄」
財産も借金も引き継がない
財産も借金も引き継ぎません 借金が多い場合
「限定承認」
財産の範囲で借金を支払う
受け継いだ財産を限度に借金を支払います 財産と借金のどちらが多いか分からない場合

※表は左右にスクロールして確認することができます。

どの方法を選ぶべきかは、財産と借金の内容、家族関係、残したい不動産の有無などによって異なります。

借金を引き継がないための相続放棄

借金を引き継がないための相続放棄

借金の方が明らかに多い場合は、相続放棄を検討します。
相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとして扱われます。そのため、亡くなった方の借金を支払う必要はなくなります。
ただし、借金だけを放棄して、預貯金や不動産だけを受け取ることはできません。

相続放棄をすると受け取れない主な財産

  • 亡くなった方名義の預貯金
  • 土地や建物
  • 株式や投資信託
  • 自動車
  • 貸していたお金
  • 亡くなった方が受取人になっていた保険金

たとえば、父親に1,000万円の借金と500万円の預貯金があった場合、借金だけを断り、預貯金だけを受け取ることはできません。
相続放棄を選ぶ場合は、原則としてどちらも引き継がないことになります。

相続放棄には原則3か月の期限があります

相続放棄は、原則として、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます。
この3か月は、亡くなった日から必ず数えるわけではありません。
たとえば、疎遠だった叔父が亡くなり、数か月後に自分が相続人だと知らされた場合は、相続人になったことを知った日が判断の基準になることがあります。
ただし、期限の考え方は事情によって異なります。督促状や裁判所からの書類が届いた場合は、そのままにせず早めに確認しましょう。

3か月で判断できない場合

借金の額や財産の内容を調べても、3か月以内に判断できないことがあります。
その場合は、家庭裁判所へ申し立て、考える期間を延ばしてもらえる可能性があります。この手続きを「熟慮期間の伸長」といいます。
熟慮期間とは、相続するか、放棄するかを考えるための期間です。
期間を延ばしたい場合も、原則として3か月の期限内に申し立てる必要があります。

財産と借金のどちらが多いか分からない場合

亡くなった方が事業をしていた場合などは、財産と借金の全体がすぐに分からないことがあります。
そのようなときは、受け継いだ財産の範囲内で借金を支払う「限定承認」を検討することがあります。
たとえば、次のようなケースです。

  • 借金があるが、金額が分からない
  • 売却できそうな不動産も残っている
  • 先祖代々の自宅を残せる可能性を確認したい
  • 事業上の財産と借金が複雑になっている

限定承認であれば、借金が財産を上回った場合でも、原則として相続人が自分の財産から不足分を支払う必要はありません。
一方で、限定承認は相続人全員が一緒に申し立てる必要があります。財産の調査や債権者への対応など、相続放棄より複雑な手続きも必要です。
相続人の一人が反対している場合や、すでに相続放棄をしている場合は、利用できるかを個別に確認する必要があります。

まず借金の有無を調べましょう

確認したい主なもの

  • 金融機関やカード会社からの郵便物
  • 督促状や請求書
  • 預貯金通帳の返済記録
  • クレジットカードの利用明細
  • 借入れの契約書
  • 住宅ローンの返済予定表
  • 税金や社会保険料の通知書
  • 事業用の帳簿や決算書
  • 不動産の登記事項証明書

登記事項証明書とは、土地や建物の名義や、担保の有無などが記録された書類です。
不動産に「抵当権」が付いている場合は、住宅ローンなどの担保になっている可能性があります。抵当権とは、返済ができなくなったときに、金融機関などが不動産から優先して返済を受けるための権利です。
信用情報機関への照会によって、消費者金融やクレジットカードの利用状況を確認できる場合もあります。
ただし、知人からの借入れや連帯保証など、書類だけでは見つけにくいものもあります。分かる範囲で調査を進め、期限内に判断することが大切です。

財産を使う前に確認が必要です

相続放棄を検討している場合は、亡くなった方の財産を勝手に使ったり、処分したりしないよう注意が必要です。
財産を処分すると、相続する意思があったと判断され、相続放棄が認められなくなる可能性があります。

慎重に対応したい行為

  • 亡くなった方の預金を引き出して自分のために使う
  • 自動車や貴金属を売却する
  • 不動産を自分の名義へ変更する
  • 遺産分割協議書へ署名する
  • 借金の一部を亡くなった方の財産から返済する
  • 価値のある家財を持ち帰る

葬儀費用の支払いや、価値のない家財の処分などが直ちに問題になるとは限りません。
ただし、何をしてよいかは状況によって異なります。相続放棄を考えている場合は、財産へ手を付ける前に弁護士へ相談しましょう。

督促状が届いても、すぐに支払わないでください

亡くなった方の債権者から、相続人へ督促状や請求書が届くことがあります。
債権者とは、お金を貸した金融機関や、代金を請求する権利を持つ会社などです。
書類が届くと、不安になってすぐに支払いたくなるかもしれません。しかし、支払う前に次の点を確認しましょう。

  • 本当に亡くなった方の借金か
  • 請求している会社は正しいか
  • 借金の残額はいくらか
  • 自分が相続人に当たるか
  • すでに返済期限から長期間が経過していないか
  • 相続放棄を検討できるか
  • 裁判所から届いた書類ではないか

裁判所から支払督促や訴状が届いている場合は、放置しないことが大切です。
書類に書かれた期限までに対応しないと、相手の請求どおりに手続きが進む可能性があります。
電話で支払いを約束したり、分割払いの書類へ署名したりする前に、請求内容を確認しましょう。

家族同士で借金の負担を決めても
債権者には通用しないことがあります

相続人同士の話し合いで、「父の借金は長男がすべて支払う」と決めることがあります。
しかし、相続人同士で決めただけでは、金融機関などにその内容を当然に受け入れてもらえるとは限りません。
たとえば、母親と子ども2人が相続人で、遺産分割協議によって長男が借金をすべて負担すると決めたとします。
この場合でも、債権者からほかの相続人へ、法律上の割合に応じた支払いを求められることがあります。
借金の引受けを一人にまとめるには、債権者の同意が必要になる場合があります。
財産の分け方だけでなく、借金を誰がどのように返すかも確認しましょう。

住宅ローンが残っている場合

亡くなった方の自宅に住宅ローンが残っている場合は、金融機関へ連絡し、契約内容を確認します。
住宅ローンには、「団体信用生命保険」が付いていることがあります。
団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りた方が亡くなったときなどに、保険金で残ったローンを返済する仕組みです。
保険が適用されれば、ローンがなくなる場合があります。

確認したいこと

  • 住宅ローンの残高
  • 団体信用生命保険への加入
  • 保険金が支払われる条件
  • 亡くなった後の返済状況
  • 土地や建物の名義
  • ほかの方が連帯保証人になっていないか

すべての住宅ローンに保険が付いているわけではありません。
また、保険が適用されない場合や、亡くなった方以外も借主になっている場合は、返済が残ることがあります。

連帯保証人になっていた場合

亡くなった方が、知人や会社の借金の連帯保証人になっていた場合、その支払い義務も相続の対象になる可能性があります。
連帯保証とは、借りた本人が支払わないときに、代わって支払う責任を負うことです。
保証の対象となっている借金が返済中であれば、亡くなった時点で請求が来ていなくても、後から支払いを求められることがあります。
一方、相続人自身が亡くなった方の借金の連帯保証人になっている場合は注意が必要です。
この場合、相続放棄をしても、自分が連帯保証人として負っている責任まではなくなりません。

一人が相続放棄すると
次の相続人へ移ることがあります

相続放棄をすると、その方は初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
その結果、これまで相続人ではなかった親族が、次の相続人になることがあります。
たとえば、亡くなった方の子ども全員が相続放棄をすると、亡くなった方の父母が相続人になる場合があります。
父母がすでに亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になる可能性があります。

影響を受ける可能性がある親族

  • 亡くなった方の父母
  • 亡くなった方の祖父母
  • 亡くなった方の兄弟姉妹
  • すでに亡くなった兄弟姉妹の子ども

相続放棄をした方に、次の相続人へ知らせる法律上の義務が常にあるとは限りません。
しかし、後から突然督促状が届くことを避けるため、可能であれば親族へ状況を伝えておくことも検討しましょう。

相続税の計算では借金を差し引ける場合があります

亡くなった方の借金を引き継いだ場合は、相続税を計算するときに、一定の借金を財産から差し引けることがあります。これを「債務控除」といいます。

差し引ける可能性があるもの

  • 金融機関からの借入金
  • 未払いの税金
  • 未払いの医療費
  • 未払いの公共料金
  • 事業上の買掛金
  • 一定の葬儀費用

ただし、すべての支払いが差し引けるわけではありません。
借入金の残高証明書や請求書、領収書など、金額を確認できる資料を残しておきましょう。

弁護士法人Legal Homeへ早めにご相談ください

弁護士法人Legal Homeへ早めにご相談ください

亡くなった方に借金がある場合は、限られた期間で財産と借金を確認し、相続するかどうかを判断する必要があります。
「借金があるか分からない」「督促状が届いた」「相続放棄の期限が迫っている」といった場合は、早めの対応が大切です。
弁護士法人Legal Homeでは、豊中を拠点に大阪府全域からご相談を受けています。初回相談は60分無料です。
借金の有無が不明な場合や請求書が届いた場合、相続放棄の判断に迷っている場合など、さまざまな段階でご相談いただけます。
資料がそろっていなくても問題ありません。手元の資料をもとに状況を整理し、必要な手続きをご案内します。お気軽にご相談ください。

代表弁護士 藤原 武士

執筆者

弁護士法人Legal Home

代表弁護士 藤原 武士

経歴

  • 愛知県豊橋市出身
  • 東北大学法学部卒業
  • 2010年8月司法修習終了(63期)
  • 2010年9月他事務所で勤務
  • 2017年10月藤原武士法律事務所 開設
  • 2020年8月法人化し、弁護士法人藤原武士法律事務所へ。豊中オフィス開設
  • 弁護士法人Legal Homeへ名称変更
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