遺産相続について

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遺産相続とは?

遺産相続とは、亡くなった方が残した財産や権利、義務を、ご家族などが引き継ぐことです。法律上、亡くなった方を「被相続人」、財産などを引き継ぐ方を「相続人」といいます。
相続の対象になるのは、預貯金や不動産など、受け取ることで利益になるものだけではありません。借金や未払いの税金なども、相続の対象になる場合があります。
たとえば、亡くなった方に1,000万円の預貯金があっても、同時に800万円の借金があれば、預貯金だけを受け取って借金を引き継がないという選び方は、原則としてできません。
そのため、相続が始まったときは、どのような財産があるかだけでなく、借金や未払い金がないかも確認することが大切です。

相続発生後にすることは?

ご家族が亡くなった後は、葬儀や各種の届け出に追われ、相続のことまで落ち着いて考えられない方も少なくありません。まずは、次の3点を順番に確認しましょう。

  • 遺言書が残されているか
  • 誰が相続人になるか
  • どのような財産や借金があるか

最初からすべての資料をそろえる必要はありません。分かる範囲で整理しながら、少しずつ確認していきます。

遺言書の確認

遺言書がある

有効な遺言書がある場合は、原則として、その内容に沿って財産を引き継ぎます。
ただし、遺言書が見つかったからといって、すぐに開封してよいとは限りません。自宅などで保管されていた遺言書は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になる場合があります。
検認とは、遺言書を見つけた時点の状態や内容を裁判所で確認し、その後の書き換えや偽造を防ぐための手続きです。遺言書が法的に有効かどうかを決める手続きではありません。
封がされた遺言書を見つけた場合は、その場で開けずに保管しましょう。家庭裁判所以外で開封すると、過料の対象になる場合があります。
一方、公証役場で作成した公正証書遺言や、法務局で保管されている自筆証書遺言は、原則として検認が必要ありません。

遺言書があっても注意が必要な場合

遺言書に「すべての財産を長男に相続させる」と書かれている場合でも、ほかの相続人が何も受け取れないとは限りません。
配偶者や子どもなどには、最低限受け取ることが認められている「遺留分」があります。遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分です。
遺言書の内容に納得できない場合や、自分の取り分が大きく減っている場合は、遺留分を請求できる可能性があります。ただし、請求には期限があるため、早めの確認が必要です。

遺言書がない

遺言書がない場合は、相続人全員で話し合い、誰がどの財産を受け取るかを決めます。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
たとえば、遺産に自宅と預貯金がある場合、次のような分け方が考えられます。

  • 配偶者が自宅を引き継ぎ、子どもが預貯金を受け取る
  • 自宅を売却し、その代金を相続人で分ける
  • 一人が自宅を取得し、ほかの相続人に代わりのお金を支払う

法律で定められた相続割合と異なる分け方も、相続人全員が納得すれば可能です。

相続人を確認

遺産分割の話し合いを始める前に、誰が相続人になるのかを確認します。
普段付き合いのある家族だけで判断すると、相続人を見落とすことがあります。たとえば、亡くなった方に前の配偶者との間の子どもがいる場合、その方も相続人になる可能性があります。
相続人の一人を除いて話し合いを進めても、原則として有効な遺産分割にはなりません。そのため、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を取り寄せ、相続人を確認します。

相続財産を確認

相続財産には、主に次のようなものがあります。

プラスの財産

  • 現金、預貯金
  • 土地、建物などの不動産
  • 株式、投資信託などの有価証券
  • 自動車、貴金属、骨董品
  • 貸付金や未収金
  • 著作権などの財産的な権利

マイナスの財産

  • 借入金
  • 住宅ローン
  • クレジットカードの未払金
  • 税金や医療費の未払い
  • 保証債務

財産がどこにあるか分からない場合は、通帳、郵便物、固定資産税の通知書、保険会社からの書類、確定申告書などが手掛かりになります。
借金がある可能性があるときは、亡くなった方の預貯金を使ったり、財産を処分したりする前に注意が必要です。行動の内容によっては、相続を受け入れたと判断される可能性があるためです。

遺産分割協議とは?

遺産分割協議とは、相続人全員で財産の分け方を話し合うことです。
単に金額だけを見て分けるのではなく、それぞれの生活状況や財産の性質も考えます。
たとえば、亡くなった方と同居していた配偶者が自宅に住み続けたい場合、家を売って代金を分ける方法が適しているとは限りません。一方で、自宅以外に大きな財産がなければ、ほかの相続人とのバランスをどう取るかが問題になります。
また、次のような事情があると、話し合いが難しくなることがあります。

  • 一人だけ多額の生前贈与を受けている
  • 一人が長年にわたり介護を担っていた
  • 相続人の一人が預貯金を管理していた
  • 不動産の評価額について意見が分かれている
  • 長期間連絡を取っていない相続人がいる

生前贈与などを相続分に反映させる考え方を「特別受益」、介護や家業への貢献を相続分に反映させる考え方を「寄与分」といいます。どちらも、単に「自分は多くもらうべきだ」と主張するだけでは認められないため、資料や事情の整理が必要です。

遺産分割協議がまとまった場合

相続人全員が財産の分け方に納得したら、その内容を「遺産分割協議書」にまとめます。
遺産分割協議書は、話し合いで決めた内容を記録する書類です。誰がどの預貯金や不動産を受け取るのかを具体的に記載し、一般的には相続人全員が署名して実印を押します。
遺産分割協議書は、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きなどで使用します。記載内容が曖昧だったり、不動産の表示に誤りがあったりすると、手続きを進められないことがあります。
口頭で合意しただけでは、後から「そのような話はしていない」と意見が食い違う可能性もあります。合意した内容は、書面に残しておきましょう。

遺産分割協議がまとまらない場合

相続人同士で話し合っても合意できない場合や、一部の相続人が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てる方法があります。
遺産分割調停とは、裁判所の調停委員を間に入れて話し合う手続きです。調停委員がそれぞれの相続人から事情や希望を聞き、意見を整理しながら合意を目指します。
相続人同士が同じ部屋で直接話し合うとは限りません。顔を合わせると感情的になってしまう場合でも、調停委員を介して考えを伝えることができます。
ただし、調停委員や裁判官が、一方的に財産の分け方を決めるわけではありません。調停は、あくまで相続人全員の合意を目指す手続きです。

遺産分割調停が不成立となった場合

遺産分割調停でも合意できなかった場合は、原則として「遺産分割審判」へ移ります。
審判とは、裁判官が提出された資料や各相続人の事情を確認し、財産の分け方を決める手続きです。
調停では相続人全員の合意を目指しますが、審判では裁判所が結論を示します。法定相続分を基本にしながら、財産の種類や相続人の生活状況なども考慮されます。
不動産が遺産の多くを占める場合や、生前贈与、介護への貢献、預貯金の使い込みなどが争点になる場合は、資料をそろえて主張を整理する必要があります。

法定相続人・法定相続分とは?

法定相続人

法定相続人とは、法律で相続人になることが定められている方です。
亡くなった方の配偶者は、原則として常に相続人になります。配偶者以外の方には、次の順位があります。

第一順位 配偶者と子などの直系卑属
第二順位 配偶者と父母、祖父母などの直系尊属
第三順位 配偶者と兄弟姉妹

上の順位の相続人がいる場合、下の順位の方は相続人になりません。例えば、亡くなった方に子どもがいる場合、父母や兄弟姉妹は原則として相続人にはなりません。
本来相続人になる子どもが被相続人より先に亡くなっている場合は、その子どもである孫などが代わって相続人になることがあります。これを代襲相続といいます。

法定相続分

法定相続分とは、法律が目安として定めている相続割合です。

相続人の組み合わせ 各相続人の法定相続分
配偶者と子 配偶者:2分の1/子:2分の1
配偶者と父母などの直系尊属 配偶者:3分の2/直系尊属:3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:4分の3/兄弟姉妹:4分の1
配偶者のみ 配偶者がすべて相続
子のみ 子がすべて相続
直系尊属のみ 直系尊属がすべて相続
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹がすべて相続

同じ順位の相続人が複数いる場合は、原則として、その順位に割り当てられた相続分を人数に応じて分けます。
ただし、法定相続分は、遺産に含まれる一つひとつの財産をその割合で共有しなければならないという意味ではありません。相続人全員が合意すれば、特定の方が不動産を取得し、ほかの方が預貯金を取得するなど、事情に応じた分け方ができます。

期限のある相続手続きに注意しましょう

相続には、期限が決められている手続きがあります。話し合いに時間がかかっている場合でも、期限が自動的に延びるとは限りません。

相続放棄や限定承認

相続放棄とは、預貯金や不動産だけでなく、借金も含めて相続しないための手続きです。
限定承認とは、受け継いだプラスの財産の範囲内で、借金などを支払う手続きです。たとえば、財産が500万円、借金が800万円だった場合、原則として500万円の範囲で支払います。
相続放棄や限定承認は、原則として、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行います。
財産や借金の調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所へ期間を延ばす申立てができることもあります。

相続税の申告と納税

相続税がかかる場合は、原則として、相続が始まったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行います。
遺産分割の話し合いが終わっていない場合でも、申告期限が自動的に延びるわけではありません。相続税がかかる可能性があるときは、早めに税理士へ確認することが大切です。

相続登記

土地や建物を相続した場合は、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変更します。この手続きを「相続登記」といいます。
原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。長期間、亡くなった方の名義のままにしている不動産がある場合も、確認が必要です。

豊中で遺産相続についてお困りの方へ

相続では、財産の金額だけでなく、ご家族のこれまでの関係や、不動産の利用状況、介護を担ってきた経緯などが関係することがあります。
「兄弟で話し合っているがまとまらない」「連絡の取れない相続人がいる」「亡くなった方に借金があるかもしれない」など、お悩みの内容はご家庭によってさまざまです。
弁護士法人Legal Homeでは、豊中を拠点に大阪府全域から遺産相続のご相談を受け、状況とご希望を整理しながら対応方法を一緒に考えます。
戸籍や財産に関する資料がすべてそろっていなくても、分かる範囲からお話しいただけます。相続人の確認、財産調査、話し合いの進め方など、ご自身だけで判断することが難しいと感じたときはご相談ください。

よくあるご質問

亡くなった方の銀行口座から、お金を引き出してもよいですか?

口座名義人が亡くなったことを銀行が知ると、原則として口座は凍結され、自由に出金できなくなります。
相続人が勝手にお金を引き出すと、ほかの相続人とのトラブルにつながることがあります。葬儀費用や当面の生活費が必要な場合には、一定の条件で預貯金を払い戻せる制度もあるため、銀行や弁護士へ確認しましょう。

相続人の一人が海外に住んでいても、遺産分割はできますか?

海外に住んでいる相続人がいても、遺産分割は可能です。
ただし、日本の印鑑登録証明書の代わりに、現地の日本大使館や領事館などで署名証明を取得する場合があります。書類の準備や国際郵便でのやり取りに時間がかかることがあるため、早めに進めましょう。

亡くなった方のスマートフォンやインターネット上の財産も相続の対象ですか?

インターネット銀行の預金、暗号資産、ネット証券の株式、電子マネーなども、相続財産になる場合があります。
スマートフォンやパソコンに情報が残っていても、パスワードが分からず確認できないことがあります。利用していたサービスからのメールや、口座からの引き落とし履歴なども手掛かりになります。

相続人の一人が、亡くなった方の預貯金を使っていたようです。どうすればよいですか?

まずは金融機関から取引履歴を取り寄せ、いつ、いくら引き出され、何に使われたのかを確認します。
亡くなった方の生活費や医療費に使われていたのか、相続人が自分のために使っていたのかによって対応が変わります。資料を確認した上で、遺産分割の中で話し合うのか、返還を求めるのかを検討します。

相続したくない土地だけを手放すことはできますか?

相続放棄では、土地だけを選んで放棄することはできません。預貯金、不動産、借金など、相続財産のすべてを放棄することになります。
土地を相続した後に手放したい場合は、売却や贈与のほか、一定の条件を満たす土地を国へ引き渡す「相続土地国庫帰属制度」を利用できる可能性があります。

相続人に未成年の子どもがいる場合、親が代わりに話し合えますか?

親と未成年の子どもの両方が相続人になる場合、親と子どもの利益がぶつかることがあります。
たとえば、父親が亡くなり、母親と未成年の子どもが相続人になる場合、母親が自分の立場と子どもの立場の両方を代表して遺産分割を行うことは、原則としてできません。この場合は、家庭裁判所に「特別代理人」という、子どもの代わりに手続きを行う方を選んでもらう必要があります。

代表弁護士 藤原 武士

執筆者

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代表弁護士 藤原 武士

経歴

  • 愛知県豊橋市出身
  • 東北大学法学部卒業
  • 2010年8月司法修習終了(63期)
  • 2010年9月他事務所で勤務
  • 2017年10月藤原武士法律事務所 開設
  • 2020年8月法人化し、弁護士法人藤原武士法律事務所へ。豊中オフィス開設
  • 弁護士法人Legal Homeへ名称変更
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